BitSummit 2014 レポート 「冬の終わり」

  • 2014/03/11 特集

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本記事は、@Shoji_hibinoの記憶に基づく、BitSummit2014の体験ブースレポートです。
出展ブースが多いため、未知/未プレイのブースを中心に、回らせていただきました。

三月だというのに、吹雪く道中。
向かうは、京都のインディーゲームフェスBitSummit

今回で二回目の開催となるこのイベントに、
7日、8日の二日間参加させていただくことが出来ましたので、
ブース/ゲームを中心に、レポートしたいと思います。

では、早速始めましょう。

VisiontrickMedia 『Pavilion』

「見た目から入る」僕は、あるフォーラムで見つけたPavilionに、ずっと注目していました。

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遊んでみると、レベルデザイン、操作システム共に洗練されていて、すぐに夢中に。

ポイントクリックタイプのゲームは、宿命的に、
「どこをクリックできるのかという迷い」を生んでしまいやすいのですが、
『Pavilion』では、移動システムを「鐘を打ち鳴らして、キャラを呼ぶ」こと、
「街灯のオンオフによるルート制限」に限定することで、
プレイヤーが、無駄に迷うことのないデザインになっています。

スムーズに「謎解きを考えるモード」に導入されますから、
余計なストレスを受けることなく、すぐにゲームの世界に入っていけます。

気になっていた作品が、「見掛け倒し」ではなかったことに満足した僕は、
開発のHenrik Flinkさんに「絶対買いたい」と伝えて、握手をして別れました。

『Pavilion』はPS4、PSVitaで今年の夏に発売される予定です。
「PCリリースは今のところ未定」とのことですが……待ってます!
http://visiontrickmedia.tumblr.com/

SANTA RAGIONE 『MirrorMoon』

『Pavilion』もカッコイイビジュアルの作品ですが、
負けず劣らずクールなデザインの作品も展示されていました。

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「見た目から入る」編パート2。
PLAYISMさんから出ていた『FOTONICA』を開発したSANTARAGIONEによる
『MinnorMoon』は、とにかく、本当に、グラフィックがクールです。
これだけで、僕的には六割OK(!?)。

ゲームは「放り出され系」で、何をどうすればいいのかさっぱりですし、
英語をまったく話せないしで、二つの「?」が、頭上に出ていたのですが、
気になるので、そのうちちゃんと遊びたいと思います。
僕の「心の名作」、『MYST』も、最初は意味がわからなかったですしね。

『MIRROR MOON』はSteamなどで発売中。
http://www.mirrormoongame.com/

KAKEXUN(カケズン)プロジェクト

意味がわからない、といえば、カケズンプロジェクトもそう。

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僕の「心の師」、飯野賢治さんが考えていたアイデアを、実現させようというプロジェクト。

スタッフさん曰く「キーワードは、四則演算、そして宇宙」。

このわけがわからない壮大さ、飯野さんっぽいよね、と嬉しくなりつつも、
「制作されるかどうかは、クラウドファンディングの結果次第」という辺りに、
違和感を感じてしまったのは、正直なところ。

カケズンプロジェクトのクラウドファンディングは、3月20日から、モーションギャラリーで開始される予定。
https://motion-gallery.net/lp/kakexun

Flying Carpets Games 『The Girl and the Robot』

一方、すでにクラウドファンディングに成功した作品の展示もありました。

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ICO的雰囲気と、ゼルダ的アクションパズル。
柔らかさ、素朴さのあるコンセプトアートにキュンとなる作品で、
こちらはKickstarter関連のニュースを見て気になっていたゲームです。

少女はスピーディだが弱く、ロボットは攻撃できるが鈍足。

対照的な二人の操作キャラクターを切り替えながら、
捕らわれの塔から脱出を目指して進んでいきます。

ロボットバトルの操作感の悪さ、往復移動を繰り返す謎解きの作りなど、
現状は、すこし荒削りな印象を受けますが、設定はとても魅力的
なので、
この世界を存分に楽しめるように、徹底的に練り上げてくれることを願っています。
http://flyingcarpetsgames.com/

くるくる 『JumpGun』

今後が楽しみな作品といえば、くるくるさんが出展されていた『JumpGun』。

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撃った弾に当たると、オブジェクトがジャンプする、レトログラフィックなアクションパズル。

元は福島ゲームジャムで作られたもので、見た目も、まあ言ってしまえばよくある感じのもの。
しかし、遊んでみるとこれがまあ面白い!

ゲーマーが無意識に持つと考える「ジャンプの操作権」を失くすことによる、ちょうどよいもどかしさ。
凝り固まった情報伝達回路が再構築され、脳みそが揉みほぐされます。

一画面=1ステージで完結することも手伝って、
レベルデザインのだらしなさや無駄を感じる瞬間がほとんどなく、
かなり早い段階で、面白さにたどり着くことができるのも良いところ。

既存文法を、ひねったアイデアは、「当たり前の楽しさ」と親和性が低くなりがちで、
「奇抜なだけで、遊んでも面白くない」ことはよくあるわけですが、
本作の場合は、違和感なく、綺麗にまとまっています。

ビジュアル周りを磨き上げれば、充分に商品化できると感じさせる、優れた小品です。
http://fgj.igda.jp/dokuwiki/doku.php?id=team:uzumasa1
参考:http://www.inside-games.jp/article/2014/03/08/74992.html

札幌ゲーム製作者コミュニティ Kawaz TeamVOX 『VOXQUARTER』

アイデアが魅力的といえば『VOXQUARTER』も印象的でした。

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かっこいいフライヤーを見た時点で、「これ絶対遊ぶ!」と決めていた作品。
実際に遊んでみて、そのアイデアに魅了されました。

画面は二分割されており、上部が「JRPGのフロントビューバトル」的画面、
下部には、「バトルコマンド」が表示された「球体」が描かれます。

特筆すべきは、そのコマンド同士がフラットな関係にないことで、
「前回選択したコマンド」、「隣接したコマンド」しか選択できないため、
「スキルツリー的戦略バトル」とでも言うような、独特なてざわりのシステムになっていること。

(注:正式名称は「コマンドグラフ」と言うそうです)

音とコマンドの絡み合いがもっとはっきりと認識できる形になれば、
さらに気持ちのいいプレイになりそう。

力強く「IGFを取るのが目標です」と仰っていたGEEKDRUMSさん。
「JRPGバトル再解釈」の雰囲気が、どのように評価されるのか、とても楽しみですね。

リリースはiOSを予定されているそうです。
http://voxquest.tumblr.com/

三原亮介 『Gesuido』

僕は「PCゲーム派」なのですが、
スマートフォン作品を展示されているブースの中にも、興味をひかれるものがたくさんありました。

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初期Macの仕様に倣ったグラフィックがキャッチーな、iOSローグライク作品。
ローグライクのもつ面白さを、気軽に楽しんでもらいたいとの意図で制作されているそう。

さわった限りの印象では、多少とっつきにくさを感じたものの、
ビジュアルや現実的な設定など、個性的な雰囲気をもったゲーム
で、
いまもずっと気になっています。後ほど、腰をすえてじっくり遊んでみたいと思います。

これは「ローグライクの楽しさ」とは直接関係がないのですが、
「32x32のキャラクターの顔」がこの作品のキーとなるビジュアルなので、
プレイヤーがドットを打ち込んで、キャラグラフィックを作成できると楽しそうですし、
この作品自体の「キャラ立ち度」もアップするのでは、と(無責任に)思ったりもしました。

『Gesuido』は、現在も開発/調整中とのこと。
AppStore では、すでに販売されています にあった旧バージョンは一旦取り下げ、
今年の夏頃、バージョンアップして再公開される予定だそうです。(訂正:20140405)
http://mihararyosuke.com/gesuido/ja/

FINESOFT 『ライン選択型バトルゲーム Encounter』

スマホつながりで、もう一本。

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『Encounter』は、すでにAndroidマーケットで無料公開されている作品。

以前、フリーゲームサイトで紹介されていたのを見て、同作をプレイしたことがあり、
気になっていたので、少しだけ展開について、お話を聞かせていただきました。

曰く、「一作品をこつこつとプロモーションして広げていくよりは、
次々にリリースしていくスタイルで活動されていく予定」なのだそう。

展示されていた『Encounter』は、公式サイト(Flash)及び、Androidマーケットで無料ダウンロードできます。
FINESOFTさんのゲームは、見た目がかわいい。
http://space.geocities.jp/r_onejp/encountor.html

orz laboratory 『Totally Board マジでスノボ』

かわいいというのは、「絶妙な完成度の低さ(ゆるさ)」を伴う場合があります。
その意味で「個人的に最高」な作品を、一つ見つけました。

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海外の方なのに、屋号は「orz」。

今回展示されていた『TotallyBoard マジでスノボ』は、
画面下に滑り降りるスノボーアクション部分と、
次のマップをオープンするための情報収集やアイテムなどのRPG的要素を、
MOTHER風ドットグラフィックでまとめた、「スポーツRPG」。

ローカライズ会社などを通さず、
開発者の方が、自ら日本語版を作成される予定なのだそう。

ゲームはシンプルなミニゲーム+α、という感じですが、
『TOKITORI』的な、「愛されゲーム」になるポテンシャル
を感じます。

名刺に書いてある肩書「last boss ラスボス」もいい味ですし、
サブタイトル「マジでスノボ」も、あまり意味がわからなくて良い。

僕は、この魅力に抗えそうにありません。
http://www.orzlaboratory.com/en/games.html

プチデポット『メゾン・ド魔王』

抗えない魅力といえば。体験版だけで、僕を虜にした『メゾン・ド魔王』を作られた、
プチデポットさんのブースにも、立ち寄らせていただきました。

ブースでは、「サントラ付きPC版CD」と、攻略/解説本「解体珍書」を販売されていましたプチデポットさん。
今後の展開について、少しお話を伺うことができました。

『メゾン・ド魔王』については、水面下でいろいろ動いているそうで、
今後、うれしいニュースを聞かせてくれるかも。

次作品については、『メゾン・ド魔王』の続編である可能性は低く、
まったく新しいものになる予定
、とのことでした。

今回も「ジャンルから着想する」のではなく、
大きなアイデア、コンセプトから、ゲームを作り出していくスタイルで、制作していくとのこと。
今から楽しみで仕方ありません。

子供っぽくて恥ずかしいのですが、「素晴らしい物をありがとう」を、直接伝えたいと思っていたので、
今回、お話させていただけてよかったです。
http://globule.sblo.jp/category/1706928-1.html

fullpowersideattack.com 『BREAKS LP』

メゾン・ド魔王に負けず劣らずの有名作品、『TorqueL』を開発した、
fullpowersideattack.comさんのブースにもお邪魔させていただきました。

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今回は、『BREAKS LP』をリープモーションでプレイ。

操作/プレイによる、「楽曲のリミックス」を目的としているという本作品ですが、
喧騒の中で音がよく聞き取れないこともあり、いまいち楽しみ方がわかりませんでした。
開発のなんもさんにお願いして、「お手本プレイ」見せていただいたりしました。
(ありがとうございました。)

BitSummitは、クラブのような薄暗さと、音の洪水が特徴的かつかっこいいイベントですが、
出展者の方の間では、「ステージの音が大きすぎる」という声もあったそう。

『BREAKS LP』のような、音を楽しむ作品の場合は影響が大きいですね。

逆に、この作品を、ステージ上で爆音とともにプレイしたら、
最高にかっこよかったんじゃないか
、とも思いました。

『BREAKS LP』はPLAYSIMさん等で発売中なので、気になった方はチェックしてみてください。
http://fullpowersideattack.com/breaks

ジェムドロップ 『ポポロコ -Poppoloco-』

fullpowersideattack.comさんの宣材は、緑色を印象的に使われていることが多いのですが、
緑をキーカラーにした、カジュアルゲームの出展もありました。

『ポポロコ』は、手触りが良い、カジュアルなアクションパズルです。

ローグライクRPGパズル『Dungeon Raid』のように、同色パネルをなぞって消すことで、
自キャラのスピードをアップさせ、迫ってくる敵に追いつかれないように次の駅をめざす。

ルールはシンプルながら、リアルタイム進行なので、かなり忙しいゲームです。

アイテムパネルで緩急をつけつつ、「全パネル同色化」で高速スクラッチさせるあたりは、
暇つぶし系iOSアプリゲームの定石通りの、手堅い作り
になってます。

ビジュアルもかわいらしいし、丁寧に作られているのが伝わってくるので、
カジュアルゲームとは言え、発売されれば購入したいと感じる作品でした。

公式情報はこちらから御覧ください。
http://www.gemdrops.co.jp/products/poppoloco/

Child-Dream 『人形の傷跡』等

「購入」といえば、もともとシェアウェアだったものを、
「完全無料化」して公開しているというサークルさんも参加していました。

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「知名度を上げるため、全てフリーで遊んでもらうことにしました」
というチャイルドドリームさん。

開発の方の話しぶりに熱意を感じました。

シェアウェア時の評価、また、AppStoreでの評価も非常に高く、
時代を感じさせるグラフィックは差し引かざるをえないとしても、興味をひかれます。

これは、ゲームとは関係ない部分で申し訳ないのですが、
積極的にチラシを配る姿勢が、単純にかっこよかったです。

作品は、後で遊ばせていただきたいと思います。

チャイルドドリームさんのサイトはこちら。
http://www.child-dream.net/

WolfireGames 『Overgrowth』

最後はこちら。
スタイリッシュ風に見えてどこか珍妙な「うさぎ格闘アクション」ゲーム『Lugaru』の後継作、
『Overgrowth』を出展されていたWolfireGamesのブース。

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完全に日本語がわからない女性のスタッフの方と、
完全に英語がわからない僕とで、対戦させていただきました(カオス)。

前作同様に、動きが滑らかで、素早く、多彩な動きと展開ができそう。

和製格ゲーの競技的な先鋭化、そして固定化してしまったシステムが楽しめない人でも、
このゲームなら楽しめるかもしれませんね。

壁バシリとジャンプで上を目指していく、プラットフォーマー的なモードも遊ばせてもらいましたが、
僕がぬるゲーマーのせいで、まったく進めませんでした。

バグっぽい感じでキャラクターが地面を突き抜けた時は、開発者のみなさんも僕も爆笑。

でも、とにかく触っていて気持ちがいい。
ルールを覚えて、駆け引きができるようになれば、最高に楽しいゲームだと思います。

『Overgrowth』は、現在プレオーダー受付中。
http://www.wolfire.com/overgrowth

その他 拝見させていただいたブース

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ガチでファミコンカセットを作ってしまった、キラキラスターナイトのRIKIさん、
ガチでMSXのゲーム(!)を展示されていた、TPM.CO SOFT WORKSさん、
イベント用に『ロッコちゃん3D』を展示されていた、王の巣窟さん、
ゲームボーイ風iOSアクション『BonetheZombies』の、nakさん、
そろそろ出来上がってきたモンケンプロジェクトさん、
気さくに対応していただいたイベントスポンサー、Behemothさん、
『電波人間のRPG3』が海外展開するGeniusSonorityさん、
などなど、数多くのブースを回らせていただきました。

それから、PS4ブースであそんだ死にゲー『n++』
QWOP系のタコ人間イライラゲー『OCTODAD』も楽しかったですし、
PCリリースを待っている『TENGAMI』は、すばらしい仕上がりを実感できました。

冬の終わり

Unity Games Japanの発表。Indie Streamの稼働。
PLAYISM、架け橋ゲームズ、8-4、そして、今回のBitSummitの、熱。

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高く積もった「海外の壁」は、雪のように溶けて消え、
国内シーンを取り巻く環境は、冬の季節を終えた、と言って良いでしょう。

あたたかくなれば、やがて、無数の芽が出ます。

花を咲かすのは、そこに参加する、全ての人達です。

これを読んでいる、あなたもふくめて。

みんなで、この芽を育てましょう。

◆書いた人
@Shoji_Hibino
更新情報は、こちら