Tiny & Big: Grandpa’s Leftovers レビュー 「世界を切り開け」

  • 2012/07/03 レビュー

プレイ時間6時間。2周クリア、未コンプ。英語版、テキスト未読。キーボード・マウス。
※広報様より、プロモーション用キーをいただきプレイ。

どんなゲーム?

本作の主人公、「TINY」

『TINY&BIG』は、現代美術のグループ展「ドクメンタ(documenta)」で有名なドイツの都市、
「Kassel」にある、「Black Pants Game Studio」から生まれた、3Dアクションゲームです。

コミックスタイルのグラフィックが異彩を放つ本作は、ゲーム性も独特で、
「BIG」というライバルキャラクターがボス的に登場する以外は、ザコ敵が、いっさい登場しません。

そのため、
大きな岩などを、スパっと切り分ける「レーザー」と、「フック(ロープ)」を使った「引っ張り」、
ロケットによる、オブジェクトの「吹き飛ばし」を使った、「空間の攻略」がメイン
となってきます。

橋がないなら……

例えば、
ジャンプで届かない距離でも、何らかの「オブジェクト」を切り出して、橋のようにして渡ったり、
落ちれば死んでしまう高低差のある場所に、
柱のような長いオブジェクトを斜めに「かけ」て、滑り台のようにし、安全に降りていく。
そのようにして、世界を、文字通り「切り開いて」いくのが、本作の最大の特徴であり、面白さです。

「BIG」の石投げ攻撃が加わる後半では、少しアクション性が増しますが、
基本的に、全編を通して難しくはないゲームだと言えるでしょう。

石柱で渡ればいいじゃない byTINY

「創造的」プレイ感覚

このゲームの良い所は、
マップ上の大部分を、切り刻めるように設計してあることと、
空間全体に働く物理演算によって生まれる、「創造的な」プレイ感覚です。

様々な形のオブジェクトを切り出し、吹き飛ばしたり、重ねたりして、意図した形に近づけていくことで、
例えば、『HL2 Garry’sMod』で、「ドミノ倒し」を作って遊ぶような、
「私が世界に干渉し、形作っている」という、豊かなプレイ感覚が味わえるのです。

アクションゲームなのに、サンドボックスゲームのような手触り。

その感覚は、
ゲーム外で言えば、「ピタゴラスイッチ」や「積み木遊び」にも似ているかもしれません。

組み立てられる積み木 「scalino」

また、「BIG」以外、敵があらわれないことも功を奏していて、
それによってプレイ中の意識が、「空間把握」に集中するために、
プレーヤーの頭の中にもう一つの世界が出来上がり、
三人称視点のゲームでありながら、高い没入感を生んでいます。

リトライ時に無駄な演出やフェードを挟まない所も、それを補強しています。

「レーザー」。これだけで、すでに面白い

特筆すべきは、このゲームの基本アイテム、「レーザー」(と、「フック(ロープ)」「ロケット」)の面白さです。

「レーザー」でぶった切る!

「レーザー」は直線でしか切れないものの、数多くのオブジェクトを、好きな所でカットでき、
「ロープとロケット」で、切り出したオブジェクトは簡単に移動させることができるので、
どのような形で切り出すのか、どのようにオブジェクトを重ねるかは、完全にプレーヤー次第。

これはつまり、ゲームの解き方、解法が、膨大にある(ような感覚で遊べる)ということです。

「フック(ロープ)」でひっぱる!

もちろん実際には、開発者の意図した最適解というか、ルートがあるのですが、
自由気ままにオブジェクトを切り刻めるため、本作は、プレイヤーに「強要」を感じさせないのです。

適当に切り刻んで、「石」が不足し、向こうに渡れなくなったり、
デカデカと切りだした素材に、押しつぶされたりしないよう、わずかな緊張感を味わいながら、
世界と自由気ままに戯れる。

そこは、あなた専用の箱庭です。

「グラビティガン」や「ポータルガン」は、3Dゲームに新しいパズルと感覚を発生させた、
素晴らしいアイデアですが、『TINY&BIG』の「レーザー」(と、「フック(ロープ)」「ロケット」)も、
それらに見劣りしない、素晴らしい魅力と、可能性を秘めていると言えるでしょう。

「ロケット」で吹っ飛ばす!

さらに、「BIG」が飛ばしてきた巨大な岩を、空中でカッティングし、ダイナミックに回避できるのも見所で、
プレーヤーを避けるように、岩がまっぷたつに割れた時などは、とても気持ちが良いです。

気になる部分

素晴らしいゲームシステムで、お伝えするに十分な魅力をもっている本作ですが、
気になる部分が無いわけではありません。

まずは、カットシーンの出来。
本作のグラフィックは、「一枚絵」としては抜群に良いのですが、
反面、カットシーンのアニメーションは、動きがイキイキしていない上に、「間」が妙で、
「動画」としては評価することは難しい。

トレーラーは良い。しかし、このコミックスタイルムービーは、ゲームには登場しない

次に、これはゲームの面白さを根本から損なうものではありませんが、
効果音、SEの、バランスの悪さも少し気になったポイントです。
例えば、キャラクターよりはるかに大きな岩が、目の前に落ちても、効果音は控えめですが、
カットシーン等の「壁が割れる音」などは、大きすぎるくらい大きいので、驚きます。
さらに、本作の主人公は、ジャンプ時に一切音を出さないですが、これも寂しい。

最後は、「ラジオシステム」の問題。
本作では、「GTAシリーズ」を思わせる、「ラジオシステム」を採用していて、
アイテム取得によって聞ける曲を増やしつつ、好きなタイミングで好きな曲をかけられます。
これは一見楽しそうに思えますし、曲自体の質は決して悪くないのですが、
曲数の少なさと、ミドルテンポの渋めの曲が多いことが災いし、すぐに飽きます。

また、プレーヤーに自由に曲を選ばせるという事は、
シーンを盛り上げる「武器」を、一つ失っているという事
でもあります。

単なるサンドボックスゲームなら、それでもよいのですが、本作はそうではありません。
アクションゲーム的に盛り上がるシーンや、神秘的な神殿へ降りていくシーンなど、
性格のハッキリしたシチュエーションがあるにも関わらず、
「シーンを盛り上げないBGMがただ鳴っている」ので、とてももったいなと感じます。

細かいところでは、
マップがとても立体的で、魅力的であると同時に、行き先に迷う瞬間を作りますので、
目的方向をおおまかにでも表示してくれると、嬉しいな、と思いました。

音楽を効果的に使っているとは言えない

まとめ

独特なゲームシステムとグラフィックスタイルは、十分にプレイに値すると言えるでしょう。

積み木遊びのような「創造的」プレイ感覚は素晴らしく、
ザコ敵が登場しないデザインは開放的で、ストレスなく、のびのびと世界に集中できます。

クリアまでのプレイ時間は長くはありませんが、
Achievement要素もあり、繰り返しプレイに耐えるシステムであると思います。

音まわりはやや調整不足を感じましたが、ゲームの面白さを、大きく損なうものではありません。

『TINY&BIG』の新鮮かつ豊かなプレイ感覚は、大きな可能性を秘めていて、
ゲームに「新しさ」を求める方には、特にオススメしたいタイトルです。

ときどき、「インディーゲームやってて良かったー!」と思わせるような、
素敵な作品と出会えることがありますが、
『TINY&BIG』は私にとって、まさにそのようなゲームでした。

◆公式サイト
http://www.tinyandbig.com/

◆販売サイト
公式:
DRM FREE Win/ Mac/ Linux Versions + Steam Key $12.99。
http://www.tinyandbig.com/shop/

STEAM:
$9.99 USD
http://store.steampowered.com/app/205910/?snr=1_4_4__105_1/

◆書いた人
@Shoji_Hibino
更新情報は、こちら